”サラリーマン卒業”に向けた当面の目標をFI(=Financial Independence)状態の達成と定めました。これに至るための最も重要な材料の一つである「資産が底を尽きないのか」を判断するには、端的には収入と支出を将来に亘って把握できていれば良いと言えます。このうち支出は、現在の生活費が将来に亘り発生すると仮定したうえで、家族構成の変化による変動や臨時支出を予測し加味します。ファイナンシャルプランナーがライフプランを立てる際のやり方と同様です。
ファイナンシャル・プランニングでは現在の生活費を基本生活費と言ったりしますが、僕は”家計ベースライン”と呼んでいます。家計ベースラインは資産形成や取り崩しのシミュレーションに大きな影響を及ぼす要素のため、僕は年一回見直すようにしています。この記事では、2024年12月時点におけるとりつば家の家計ベースラインを整理します。
家計ベースラインを定める目的
家計ベースラインは毎月の平均的な支出を表すもので、食費や住居費などの各費目ごとに、毎月どの程度の支出が発生しているかをまとめたものです。僕が家計ベースラインを定めている目的は大きく二つあります。
- 将来に亘っての資産形成・取り崩しのシミュレーションを行う際の変数として採用するため
- 月次の家計管理にて使いすぎかどうかを感覚値として把握するため
まず一点目は冒頭で述べたことの再掲。人生の終わりまでのライフプランは、今現在の支出、すなわち家計ベースラインを基礎に置いたうえで、これに長期的目線での変動要素(進学による教育費の変化やインフレ、収入面では出世・転職やリタイア)、ライフイベント(住宅購入、冠婚葬祭など)を加味することで完成します。
この際、家計ベースラインを例えば30万円/月と置くのか60万円/月と置くのかでは、生涯で必要な資金に大きな差が生じます。現在40歳、残りの人生を60年と仮定すると、単純計算で前者は2億1,600万円、後者は4億3,200万円。期間が長い分、その差は億単位になり得ます。したがって、有意なライフプランのシミュレーションを行うためにも、毎月の家計管理をもとに、ある程度精度の高い家計ベースラインを定めるようにしています。
二点目は感覚的なもの。家計管理の視点からも、家計ベースラインを定めていれば「今月は使いすぎたな」とか「今月は適切な支出で収まったな」など、わざわざ詳細まで分析しなくとも家計がうまく回っているかが感覚値でわかるため重宝します。この捉え方は一般的に言う予算に近いものになりますが、”予算”という文言は会社組織的な拘束力の強さを感じてしまい”自由”ではないので、僕は”家計ベースライン”という言い方にしています。
家計ベースラインの定め方。変動を反映するため定期的な見直しも必要
僕の場合、家計ベースラインは以下のように定めています。要するに毎月の支出から特異値を除いたうえで平均値を求めるわけで、考え方自体は至ってシンプルです。家計簿アプリには標準の統計機能として平均値算出が備わっていたりもするので、そのまま活用することもできます。
- 家計簿アプリの統計をもとに直近一年分の支出を費目ごとに並べる
- 突発的な支出などの特異値を除外する(例:家具・家電の購入、病気による入院)
- 費目ごとに月平均の支出を算出する
- 必要に応じて補正や予備費計上を行う
上記の通り僕は家具・家電の購入を特異値として除外していますが、毎年一定額程度の購入実績があるといった事情であれば、予備費として計上すれば問題ありません。また、僕は安全を見る性格なので、上振れを想定して実績よりも少々多めの値を家計ベースラインとしています。
また、家計ベースラインを定める目的でも触れた通り、長期的目線では家族構成の変化などに伴い支出の内容も金額も変化していくものです。したがって、これら家庭環境の変動を反映するために、家計ベースラインも定期的な見直しが必要になってきます。僕は一年間の家計を振り返る意味からも、毎年この年末年始の時期に休みをじっくり活用して家計ベースラインの見直しを行っています。
我が家の家計ベースライン(2024年12月版)
最後に、とりつば家の具体的な家計ベースラインを紹介します。この記事を執筆するにあたり、昨年末に定めた家計ベースラインをもとに今年の家計簿を振り返り、見直しを行いました。なお、とりつば家はフルタイム勤務の共働き夫婦、加えて未就学児二人の四人家族です。
食費~医療費まではいわゆる変動費、住居費~保険料までが固定費となります。それなりの額にまで拡大してしまっているためベースライン縮小を検討したいところですが、固定費は住宅ローン返済やインターネット料金などであり、過去何度も見直しをかけている箇所のためこれ以上の削減は厳しいのが実情。削減するとしたら変動費ではあるものの、これも無闇に我慢をしたりするとQOL低下に繋がるため、ポイ活などによりできるだけ回収しつつ無理のない範囲で最適化を図りたいと思います。