つばめが映す自由帖

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企業型確定拠出年金(DC)のマッチング拠出額を増額しました

僕の勤務先では退職金制度として、企業型確定拠出年金(DC)と確定給付企業年金(DB)の両方が導入されています。いわゆる2本立ての制度設計となっており、それぞれに役割があります。このうちDCについては、これまでも月額の拠出金を上限いっぱいまで活用して積み立てを続けてきましたが、法改正に伴い、2024年12月から拠出可能金額が引き上げられることになり、これに合わせてマッチング拠出額も増額されます。DCのように「対象者だけが使える非課税の積立枠」は、制度を正しく理解して早めに活用しておくのが肝要です。今回の記事では、企業型確定拠出年金(DC)の制度概要を整理したうえで、これまでの拠出状況と法改正を受けた今後の対応を整理します。

 

 

企業型確定拠出年金(DC)の概要

日本の年金制度は、よく「3階建て」として説明されます。1階が全員加入の国民年金、2階が会社員などが加入する厚生年金、そして3階が企業年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、勤務先や個人の選択によって上乗せされる部分です。つまり、加入する階層が増えるほど、将来貰える年金額も増えるという仕組みです。

出典:厚生労働省ホームページ

www.mhlw.go.jp

 

今回のテーマである「企業型確定拠出年金(DC)」は、この3階部分に該当する制度で、広義ではいわゆる退職金の一つとなります。ざっくりいえば、「会社は掛金を拠出するが、運用は従業員自身が行い、成績の良し悪しは自己責任」という制度です。

 

近年、企業側が退職金運用の利回り保証を避ける傾向が強まり、確定拠出型の仕組みが広がってきました。日本経済が長期にわたり停滞していることもあり、企業としては運用リスクを負うことが難しくなっている、という背景もあります。

 

企業型DCで選択できる運用商品は企業によって異なりますが、僕は「先進国株式インデックス100%」で運用しています。なお、始めからこのような運用をしていたわけではなく、新人の頃は投資知識が皆無だったため、定期預金や保険といった元本保証型の商品だけで10年近く運用していました。この間の株式の値上がり益、すなわち、資本主義の成長の果実を享受できなかったことになるので、今となってはかなりもったいない選択だったと感じています。

 

実際、企業型DC全体の運用資産残高の約半分は、今なお元本保証型の商品に偏っているとのデータもあります。投資に対する不安や元本割れのリスクを過剰に気にする風潮は、まだまだ根強いのかもしれません。

 

2024年11月時点のDC拠出状況。マッチング拠出を枠いっぱいに活用

企業型確定拠出年金(DC)は、企業が拠出できる金額に上限が設けられており、この拠出上限額は「他の企業年金制度の加入有無」によって変動します。また、この金額がiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金上限にも影響するため、意外と複雑です。

出典:厚生労働省ホームページ

www.mhlw.go.jp

 

僕の勤務先の場合、企業型DCに加えて確定給付企業年金(DB)も導入しており(厚生労働省の上図でいう③に該当)、拠出金の上限は月額27,500円です。ただし、企業が実際に拠出する金額は、この上限に達していないことも多くあります。僕の勤務先もその一例で、現在の拠出額は月額18,000円です。

 

このような場合、上限に満たない額を従業員が上乗せできる制度が「マッチング拠出」です。僕の場合、具体的には27,500円(上限) - 18,000円(会社拠出) = 9,500円がマッチング拠出できる上限額となります(2024年11月時点)。この掛金は全額が所得控除対象(小規模企業共済等掛金控除)となるため、家計に無理のない範囲であれば、やらない理由はありません。僕も上限いっぱいまでマッチング拠出を行っています。

 

なお、マッチング拠出は企業側が制度を導入していないと利用できません。僕の前職でも、企業型DCは導入していたもののマッチング拠出は導入されておらず、追加拠出ができませんでした。

 

また、iDeCoも掛金は全額所得控除の対象となりますが、口座管理などの各種手数料がかかってしまいます。一方、企業型DCの管理手数料は企業側の負担となっているのが一般的なため、マッチング拠出が可能であれば、まずはこちらを優先的に活用するのが合理的です。そのうえで、さらに余裕があればiDeCoの活用を検討する、という順番が現実的であろうと思います。

 

2024年12月以降は掛金の上限が拡大。これに伴いマッチング拠出の拠出金を増額する

2024年12月1日施行の法改正により、企業型確定拠出年金(DC)の掛金上限が拡大されます。

出典:厚生労働省ホームページ(URL同上)

 

これまで、企業型DCとDBの両方に加入している場合(厚生労働省の上図③)には、企業型DCの拠出上限は月額27,500円とされていました。これが、企業型DCのみ加入している場合(厚生労働省の上図①)と同様、月額55,000円まで拠出できるできるようになります。

 

ただし、マッチング拠出額は「企業の掛金の範囲内に限られる」という点には注意が必要です。つまり、上限額が55,000円に拡大されたとしても、例えば僕の場合だと、企業側の拠出額が18,000円であるため、マッチング拠出も同額の18,000円が上限になります*1

 

法改正の結果、僕の場合はこれまでのマッチング拠出上限であった月額9,500円から、最大18,000円まで引き上げが可能になります。サラリーマンが利用できる節税制度が限られている中、掛金全額が所得控除の対象となるこの制度は非常に貴重です。早速、12月からは新たな上限いっぱいまでマッチング拠出を増額するつもりです。

 

なお、企業型DCやiDeCoで積み立てた資産は、将来の受取時に退職金・年金として課税されることになります。しかし、受け取りはまだ何十年も先の話であり、税制が変わっている可能性も十分にあります。このため、受け取り方法に関しては、その時が近づいてきた際に、改めて最もお得になる手段を検討して記事にしたいと思います。

*1:厳密には、DBの掛金も考慮する必要があります